ブログ

温故知新?

計量心理学

会社に勤めて初めての仕事は、複写画像の主観的評価だった。
当時、画質を向上させる技術が開発されていたが、目標値をどの程度にすれば利用者がきれいと言ってくれ、競合他社にまさる画質が実現できるのかよくわかっていなかった。
はじめに手を付けたのが、利用者の評価における心理構造の分析。「総合的に画質が良い」というのは、「はっきりしている」「黒色がきれい」「文字がきれいで読みやすい」などどのような印象を持たれているのかを明らかにした。さまざまな画質の画像を見せ、形容詞対で評価させるSD法をもとに、主成分分析でその構造を把握した。
そこでつかんだ心理的評価因子をもとに、今度は意図的に物理量を変化させて画像を評価してもらい、重回帰分析で主観(心理)量との対応を付けた。詳しい関係性はとうに忘れたが、ある物理特性は数値が上がると比例して心理量も上がるが、ある数値以降は急に心理量への影響が少なくなる。無理に高い数値まで追求しなくとも良いことがわかった。

当時は、「精神測定法」「計量心理学」「多変量解析」などなどの本を片っ端から学びながらの実践。コンピューターはプログラムデータも入力するデータもカード時代!えらい扱いに苦労した覚えがある。特に、私は「大漁旗に込められた意味」なんちゅう卒業研究で、数学やコンピューターとはほぼ無縁だっただけに。


翻って、今話題のユーザビリティとかUX(ユーザー体験)も優れた製品・サービスをいかに実現するかの目標値設定に苦労している。もっと、主観(心理)量の構造の把握にもとづく、物理量との対応などのアプローチがあっても良いかもしれない。

コメントを残す

*

CAPTCHA